![](https://www13.a8.net/0.gif?a8mat=3HC56T+58QFJM+2TS6+5YRHD)
こんにちは、たかしーです
今回は心室頻拍についてまとめていきたいと思います
心室細動と異なり、心室頻拍は様々な種類があり、心電図波形も見分けるのに苦労します
しかし、心室細動と同様に緊急を要する場合が多い波形のため、医療者なら必ず覚えておく波形ですよね!
- 心室頻拍の様々な分類
- 心電図波形
- 原因
- 対応
心室頻拍の様々な種類
時間
・非持続性心室頻拍(Nonsustained VT)
30秒以内に自然停止するVT
・持続性心室頻拍( Sustained VT )
30秒以上持続するVT
血圧
・脈ありVT
多少血圧の低下はあるが、比較的循環動態は保たれているVT
・脈なしVT(Pulseless VT)
有効な拍出がなく循環動態が破綻している状態
脈の触知や意識レベルも低下するため、VF同様早急な胸骨圧迫、除細動が求められます
波形
・単形性心室頻拍
![](https://nsmantakashii.com/wp-content/uploads/2021/10/FBF4233C-4C53-4051-9BC1-518944AA25B6.jpeg)
同一のQRS波形が連続して出現する
この心室頻拍の代表的な種類として、圧痕関連性心室頻拍、特発性持続性心室頻拍、脚間リエントリー性頻拍があります
・多形性心室頻拍
![](https://nsmantakashii.com/wp-content/uploads/2021/10/80DED6EE-50D1-40F9-8BCF-6594DE6392E0.jpeg)
心室興奮の発生源が移動するため、QRS波形が1拍ずつ異なる
QRS波形が基線を中心にしてねじれているように見える
QT延長を伴う:トルサード・ド・ポアント(Tdp)
QT延長を伴わない:
・心疾患ありの場合、ブルガタ症候群、カテコラミン誘発性多型性心室頻拍、QT短縮症候群の可能性
・心疾患なしの場合、特発性多形性心室頻拍の可能性
心電図波形
特徴:
・心拍数100回/分以上
・QRS時間:140msec以上
・軸:-90°より陰性、もしくは+180°より陽性
・房室解離:心房と心室が独立した調律を持つとき、P波がT波やQRS波に埋もれて見えにくくなっている
![](https://nsmantakashii.com/wp-content/uploads/2021/10/無題91_20211013171640.png)
・癒合収縮:心室がVTのリエントリー性回路やほかのフォーカスによって同時に興奮され生じる混成収縮
VTの場合は心室の興奮と心房の興奮が別々に起こっているので、その2つが同時に起こったことで生じる
![](https://nsmantakashii.com/wp-content/uploads/2021/10/IMG_8338.jpg)
・捕捉収縮:VTにおいて洞刺激が正常伝導系で心室に伝搬した収縮
患者本来のQRS波形と同じ形態になる
・Concordant pattern:心室からの刺激場合はヒス束を介していない伝導になるため胸部誘導で全てが上向き、もしくは全てが下向きになることがある
![](https://nsmantakashii.com/wp-content/uploads/2021/10/無題89_20211013164024.png)
このような所見があれば心室頻拍の可能性が高いとされています
また、心室由来の刺激伝導になるので、右室での興奮発生なら左脚ブロック型、左室での興奮発生なら右脚ブロック型となります
さらに、右脚ブロック型、左脚ブロック型ともに上室からの刺激伝導と異なる形になります
![](https://nsmantakashii.com/wp-content/uploads/2021/10/無題95_20211014120106.png)
![](https://nsmantakashii.com/wp-content/uploads/2021/10/無題94_20211014114706.png)
本来、上室からの刺激であれば
左脚ブロック:V1で深い急峻なS波(60msec未満)、ノッチなし
V6でseptal Qなし、広いR波
右軸偏位にならない
右脚ブロック:V1でrSR’
V6で深く広めのS波でR/S>1
QRS波の前半がnarrowで後半がwide
といった特徴になるのですが、VTのように心室由来だと上の図のような波形となります
また、aVR誘導でも特徴があります
![](https://nsmantakashii.com/wp-content/uploads/2021/10/無題96_20211014120822.png)
QS型は上室性でもあり得るので、単相性のR波のみの場合は、VTの可能性が高いです
このようにVTと判断するためには、多くの材料を総合して判断します
また、VT発生の起源なんかも大まかに特定できたりするので、もし循環が崩れていない場合は12誘導心電図を素早くとることが、次の治療につながったりします
原因
原因は様々ありますが
急性心筋虚血、瘢痕心筋、心筋症、抗不整脈薬(QT延長やQRS幅増大するもの)、浸潤性疾患(サルコイドーシス、アミロイドーシスなど)、交感神経緊張、遺伝性チャネル病(QT延長・短縮、ブルガタ症候群など)、弁膜症性疾患
このような疾患がVTの原因となるようです
容易に心室細動へ移行するものなので要注意です
対応
病棟でVT波形を発見したら、VF同様患者さんの元へ走り、意識レベル、呼吸、脈の確認を行います
脈ありVTの場合:12誘導心電図や心エコーにてその場で検査を行い、カルディオバージョンでDCを行うか、薬剤投与で止めるか検討します
その間も脈がなくなる可能性もあるので、救急カートや末梢ルート、Aライン挿入の準備をしておきます
脈なしVTの場合:プロトコールに従い、早急な除細動、アドレナリン投与、換気(挿管)などを行い心拍再開を試みます
VF発生時と同様の対応となります
どちらも、状態が落ち着いても度々VTを繰り返すようであれば、薬物投与、カテーテルアブレーション、植込み型除細動器(ICD)の植込みなどが検討されます
![](https://www13.a8.net/0.gif?a8mat=3HC56T+58QFJM+2TS6+5YRHD)
いかがだったでしょうか
僕自身の経験では、よくVTを見ていたつもりでしたが、心電図のことに関しては全然認識が足りていなかったと思います
VTだと思って対応することはとても大切ですが、さらにVTの起源、原因、必要な薬剤を考えることもまた看護師に求められる能力だと思います
この記事はこんな本を参考にしています
コメント