ハンプ使用時の看護のポイント
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今回は心不全治療において欠かせないハンプ使用時の看護のポイント、知っておくべき知識についてまとめてみました
- 意識するべき3つの重要な作用
- ルート管理
- 適応と禁忌
- 看護のポイント
そもそもハンプとはヒト心房性ナトリウムペプチド(ANP)であり、身体から分泌されるホルモンです
後々の説明で重要なため覚えておこう!
意識するべき3つの作用
1:降圧作用
ハンプの降圧作用は、cGMPという血管平滑筋を弛緩(=血管拡張)させる物質の血中濃度を上昇させることによって得られます
ハンプの作用によって得られるcGMPは血管平滑筋自身で生成されるため、動脈・静脈の両者に作用します
つまり、前負荷・後負荷ともに軽減させる効果があるということです
2:利尿作用
最初に説明した、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(以下ANP)ホルモンの働きは、循環血液量が多すぎる時に分泌され、利尿作用作用を増加させるというものです
さらに詳しく説明すると、ANPが糸球体の輸入動脈を拡張されるのに対して、輸出動脈は収縮させるため、糸球体濾過圧が上昇し原尿を増やすためです。
動脈拡張での後負荷軽減+利尿作用での後負荷軽減と、2重での軽減作用があります
3:心・腎保護作用
心・腎保護作用を理解するためには、神経体液性因子について知っておく必要があります
簡単に言うと神経体液性因子とは、心不全と密接に関係している因子のことです
ANPにはRAA系(レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系)や、交感神経系などをを抑制するため、心保護作用があると言われています
さらに、BNPの抑制は心保護だけでなく、腎保護作用があるというデータもありますhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo1969/40/1/40_81/_pdf/-char/ja
そのため、ハンプは心・腎保護効果を期待して心不全治療に使用されます
降圧作用や利尿作用のように、目に見える効果ではないので忘れがちになりますが、ハンプを使用する上で重要な作用の1つとなります
ルート管理
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ハンプ使用時のルート管理は、基本的に単独投与・注射用水で溶解してから生理食塩水or5%ブドウ糖液で希釈するという原則があります
基本的に単独投与にする理由としては、単純に配合変化する薬剤が多いためです
ex)アミノ酸輸液、亜硫酸塩(亜硫酸水素ナトリウム等)を含有する製剤、ヘパリンナトリウム製剤等
ハンプの投与が少量でよい場合(3ml/h以下)などでは、生理食塩水or5%ブドウ糖のメインルートの側管から投与し、ルート閉塞がないように注意します
ハンプ投与開始時重要なのは、「注射用水で溶解」するという点です
生理食塩水で溶解してしまうと、ルート・シリンジ内で目視で結晶化が確認できるような沈殿物を生成します
そのため、仮に医師から生理食塩水で希釈の指示があった場合、溶解は注射用水を使用する旨を伝えるといった行動をとるようにしましょう
適応と禁忌
・適応
1)急性心不全症状を呈した患者で、血圧が維持されており、容量負荷が多い症例
2) 下大静脈径>15 ㎜または呼吸性変動が少ない CVP>12 ㎝ H2O
3)収縮期血圧>100 ㎜ Hg
4)LVEF>35%
5) LVEF<30%、収縮期血圧<100 ㎎ Hg は強心薬との併用が必要
・禁忌
1) 重篤な低血圧、または心原性ショックのある患者
2) 右室梗塞(静脈灌流が減少し、低心拍出状態を増悪させる)
3) 脱水症状(利尿作用によりさらに循環血漿量がさらに減少する)
このような適応と禁忌があるためCS1の心不全の多くの症例で使用されます
逆に心筋梗塞の症例では、心不全リスクは高い状態ですが、禁忌に当てはまる場合が多いので急性期を脱さないと使用できない場合が多いです
看護のポイント
上記のことを考慮すると看護のポイントが見えてきたのではないでしょうか
・血管拡張、利尿作用での血圧低下(CTRやNohria-Stevenson分類の評価など)
・in-outバランスの程度、肺うっ血の程度(X-pやCT、呼吸状態の確認)
・結晶化・配合変化の注意(ルート、シリンジ内の確認)
ハンプ開始時、使用時はこのような点に注意しながらアセスメントしていくことが大切です
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